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活動実績

ついんくる★★講座2015 第7回 テーマ:「コミュニケーション」ってな~に?

H28年1月9日(土)えーるピア久留米にて、第7回目のついんくる講座を開催いたしましたので、その内容をご紹介いたします。

第7回目の講師は、今年度2回目の登場となる
言語聴覚士の高山紀子先生。

テーマ:『コミュニケーション』ってな~に?
~言葉の発達・機能的なコミュニケーションのためのAACの活用~

高山先生のところには、2~3歳の幼児期に相談に来られることが多いそうです。
その主訴は、
・言葉が出ない(指さしがない、目が合わない)
・落ち着きがない
・集団行動ができない etc…
言語聴覚士の仕事は「コミュニケーションの専門家」であり、「言葉を出させるための仕事ではない」と高山先生は話されます。

発達障害の子どもたちのコミュニケーションの特性としては、
言葉の遅れ、指さしの遅れ、クレーンでの要求、エコラリア(オウム返し)、イントネーション(抑揚)の一定、非言語的コミュニケーション、音声の聞き間違い、会話の意図を汲み取ることの難しさ等があります。
物事の大事なところがどこなのか読み取る力が弱いので、「もうすぐご飯だから片付けなさい。」と言われても、「ごはん」が大事なのか、「片付け」が大事なのか、分かりにくいのです。

コミュニケーションとは、発信者がいて受取り手がいるように、二人以上で行われること。そして、話し言葉だけではないこと、相手とつながりたい、思いを伝えたいという意思が働くことです。
ですので、コミュニケーションの障害は、「話し言葉がないこと」でも「話している言葉が分からないこと」でもありません。
一方の問題ではなく、私たちもコミュニケーションパートナーとして成り立っているか(相手のことばを出させる前に、私たちが伝えられる方法を用いているか)を考える必要があります。

「言葉」はとても便利です。準備がいりません。
しかし、発達障害の子どもにとっては
目が不自由な人のための「メガネ」や、足が不自由な人のための「車椅子」と同じで、彼らには彼らの支援がいります。ですので、子どもに教える前に、大人の訓練が必要です。
伝える時も、具体的に
「ちょっとまって」⇒○○が終わるまで待って
「まだ食べてるの+早く食べないと+学校に遅れるわよ」⇒あと○分で学校に行く時間だよ
など、指示は短く。
そして【視覚支援の必要性】についても、根拠をお話いただきました。

そして最後に
コミュニケーションを教えると、
☆子どもから外界に働きかけ、人と関わる機会が増える
☆自己表現できることによりストレスが減る(不適切な行動の減少・本人のQOLがあがる)
☆安心感が生まれる
☆新しい学びがある
★なにより、分かってもらえる喜びがある
ことを教えていただきました。

アンケートには、
「改めて親がしっかり学んで子に合わせて関わらなくてはと思いました。絵カード等を家庭でも利用して子の成長につなげればと思いました。肯定的に言葉を伝えたいと思います。(保護者)」
「よく子供たちと話すとき“目を見て”と言ってしまいますが、その目を見ることがイタイと感じる子もいるんだな、などこれからの子供たちとの関わりの参考になりました。(教育関係者)」
「コミュニケーションとは何なのか、伝える側の伝え方の問題であるという捉え方に、はっとしました。安心感を持ち、分かってもらえる存在になりたいという思いを持つことができました。(教育関係者)」
といったご感想をいただきました。

講義後のループワークでは、
・こういう時に子どもの気持ちが分かるといいな
・こんな時にうまく伝えられたらいいな
という場面について考えました。

「体調が悪い時や、イライラしている時に伝えてくれると助かる。」
「子どもにうまく伝わっているか、親と支援者が情報共有し確認していく。」
「子どもは親のことを気にしていて、親が要求するような答えを準備している。目に見えないストレスを抱えており、親がプレッシャーをかけているのではないか。」
といった話が出ていました。

最後に高山先生から
「自分たちの考え方が変わっていかなくてはいけない、という意見が多く、伝えたいテーマだったので嬉しかった。」と感想を述べられました。
今回も沢山のご参加ありがとうございました。
文責:松尾博子