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活動実績

ついんくる★★講座2015 第8回 テーマ:しょうがいのある児童生徒が分かって動くための手立てと配慮

H28年2月20日(土)えーるピア久留米にて、第8回目のついんくる講座を開催いたしましたので、その内容をご紹介いたします。

第8回目の講師は、今年度3回目、おなじみの
NPO法人さるく代表 長瀬慎一先生。

テーマ:しょうがいのある児童生徒が分かって動くための手立てと配慮

講義では、実際にさるくが支援されたお2人の事例について、VTRを見ながら紹介されました。

まずお1人目。学校生活の中で
・先生や支援員による声かけ、誘導により活動
・髪をむしる、活動が中断してしまう
という状況でした。

考えられることは
・活動に見通しが持てていない
・主体的に(自ら分かって)動けていない
・理解レベルにあった活動が提供されていない
・先生、支援員の過干渉

まずは「環境整備」
①人的環境整備→先生と支援員が支援する際の「1m離れる」
以前:先生や支援員への体の密着
整備後:適切な関わり方ができるようになる
②物理的環境→教室内ものの位置を固定する
以前:活動に必要な教材等を先生や支援員が準備
整備後:自分で準備するようになる

それから「支援ツール」の活用
スケジュールシステム(固定式・携帯式)、ワークシステム、トークンエコノミー等“評価の機会を提供するツール”など

そしてお2人目。
最重度知的障害のある自閉症の方の、自主通学について

徒歩がいいのか?それともバス?地下鉄?
まずは通学方法の検討。
それぞれのメリット・デメリットを事前調査。検討したのち、
自宅→(徒歩)→乗車駅→(地下鉄)→下車駅→(徒歩)→学校
に決定。

その後、通学経路の検討。
A駅とB駅、どちらを利用した方がいいか。
まず、駅までの交通量が少なく、危険な場所も特にないB駅を選択。
トレーニングを開始します。(3回)
B駅を利用すると2駅間電車に乗ることになるのですが、「2駅目で降りる」の手がかりの伝達と本人の理解が困難と判断。
1駅間(次の駅で降りる)手がかりの伝達と、本人の理解が得やすいA駅を利用することになりました。

それから、自宅出発から学校到着までの課題分析です。
「エレベーターに乗る」「↓のボタンを押す」「車や自転車が来ていないか左右を見る」など、61項目のチェックリストが準備されました。
どこができて、どこが出来ないか記録していきます。

それから練習を繰り返すのですが、クリアできにくい課題については集中練習をします。そして1か月後には、自主登校ができるようになったそうです。

ただ、今後の課題としては
「地下鉄」という公共交通機関に分かりやすい手がかりを準備(各駅のマークを大きく表示する、特別支援学校の近くにある駅をある色で統一する等)環境への要請も必要になるのではないか、といった話もありました。

まずは、成功体験が出来やすいところから。どこを手がかりにしたらやれるのか、なぜ動けなかったのかを全体から読み取ること。そして出来るまでやる→それには事前の評価が大事です。
重度の子どもでも、”自分でやれた“という達成感は絶対もっています。
まず全部を手伝って(試さない)成功体験を、そして徐々に一つずつ自立度を上げていく。
「あんた自閉症やけんね」と諦めてしまえば、それで終わりだとも話されました。

アンケートには、保護者・支援者ともに
「過干渉になり過ぎていることを、反省させられました」といったご意見が多かったです。
長瀬先生曰く、
“寄るな、触るな、喋るな”ですヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ

グループワークに関するアンケートには、
「自分だけが・・・と思う日々が続いていたのですが、他の方も同じ経験をしていたり、もっと大変な思いをしていることがあるということが分かり、また明日から頑張っていける!子どもと一緒に頑張って行こう!!と思えました。」
「子どものこだわりについて話したら、“うちもあります。時々笑ってしまいます。”と言われ、うちの子どもだけではないことに安心したし、笑っていると聞いて救われました。」といったご感想もありました。

今回もありがとうございました。
文責:松尾博子