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ついんくる★★講座2020 第7回 テーマ:成人期ASDの支援~就労を中心に②
ついんくる講座★★2020
第7回 成人期ASDの支援~就労を中心に②
~アスペルガー症候群に特化した就労支援―ESPIDD~TEACCH® Certified Advanced Consultant
早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授 梅永 雄二 先生
令和3年1月17日の10時より、上記の演題で事前に録画されていた講義を視聴しました。2回目の今回は知的な遅れのない発達障がいの中でも自閉スペクトラム症(以下ASD)に特化した支援のお話でした。一般の学生の就職率が95%以上の中、発達障がいの就職率は30%未満であること。就職後も定着率の課題があり、離職の理由を分析すると仕事や技術などの「ハードスキル」の問題より、人とのかかわりやルール、マナーなどの「ソフトスキル」の課題が多いことなどが挙げられました。「ソフトスキル」は数量化することが難しく、多くが周囲からの情報を得ながら身につくスキルであり、社会性の弱さがあるASDの人たちにとって、支援の必要があることを事例を交えてお話くださいました。例えば某有名大学の学生が「爪の切り方は大学では教えてもらいませんでした」と言われたことや運転免許証を取得した方から車の故障の連絡があり、駆け付けると原因はガス欠(燃料不足)。自動車学校ではガソリンを入れる講習がないこと等、梅永先生のお話される多くの事例は日常生活に直結することばかりで支援者の見落としがちな点が数多いことを改めて感じました。また、ソフトスキルは幼児期からの丁寧な「ライフスキル」の支援が重要であることも重ねて話され、幼児期からの支援が将来にもつながっていることを改めて感じた次第です。さらにもう一つ講義の柱である就労のアセスメントとしてESPIPD(面接相談による職業カウンセリング)やBWAP-2(就労スキル評価)の内容も紹介していただき新しい知識や視点を増やしていただきました。
参加者のアンケートでは、
・発達障がいの生徒が増えてきている中で就労に関してのアセスメントを含めた支援が聞けてとても勉強になりました
・子どもたちにとって将来どんなことが必要かを考える視点の引き出しが増えました
・ソフトスキルやライフスキルの大切さを実感しました
・就労支援は幼児期からのライフスキルの延長線上にあるのだと改めて感じました
・娘に何が大切かを知ることができてよかった
など、私どもを含め学校の先生や事業所、保護者など様々な立場の人が支援に大切なものを共通認識できた時間だったのではないでしょうか。これからも皆さんと共通の視点ができることで自閉症児(者)の方々が少しでも生活しやすくなればと思います。お忙しい中たくさんのご視聴ありがとうございました。
次回は 強度行動障害者の集中支援事業という全国でも少ない取り組みを行っている『障がい者地域生活・行動支援センター「か~む」』から森口先生にお話しいただきます。2次障害の多くは無理解から作られたしまったものです。強度行動障害を防ぐためにもぜひ多くの皆様のご参加をお待ちしております。 文責:髙山