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活動実績

ついんくる★★講座2018 第3回 テーマ:思春期に学んでおきたい性のこと

H30年11月24日(土) えーるピア久留米にて、今年度第3回目のついんくる★★講座を開催しました。
今回も保護者、教育関係者、福祉サービス事業所などから、70名の参加がありました。

テーマ:思春期に学んでおきたい性のこと
講師:心と発達の相談支援another planet 所長 納富 奈緒子先生
講師プロフィール:佐賀県武雄市出身。大学の教育学部で障害児教育を専攻。
知的障害児の入所施設にて勤務。NPO法人それいゆで教育心理セラピストとして、主に相談支援事業に従事。
H23年1月 武雄市に心と発達の相談支援another planetを開所。現在に至る。
〔取得資格〕
臨床発達心理士/TEACCH®公認臨床家/TEACCH®インディペンデントトレーナー/ESDM公認セラピスト

―講義内容―

◆なぜ思春期?
〇心と体が大きく変化する時期
〇思春期以降にさまざまな問題を抱えることが多い
〇間違った情報を得てしまうことがある(様々な情報・自閉症の特性)→うのみにしやすい
〇自分からは適切な相談相手をみつけるのは大変→人から適切に学んでいくことが少ない・入ってくる情報にも偏りがある

◆実際にある問題
〇性的虐待→体を確認する
〇SNSで裸の画像流出→友達関係を築くのが苦手な子がネットでつながる
〇性的いじめ→マスターベーション、陰毛を剃られるなど
〇性的な部分だけの人とのつながり→そうじゃないと人と関われないと思って寄って行く
・・・自閉症だから、そういうことだと気づかない。リスクが高い!!

◆性の学びの開始時期
〇理想は低学年から
〇大きくなっていても、大人でも必要性に気づいたら
〇“遅かった”と残念がる必要はない
〇今後のよりよい生活に目を向ける

◆取り組む際に気をつけること
〇“性”について話すことのネガティブな感情を見せない→誰にも言ってはいけない、秘めないといけないことではない
〇親以外の人がよい→性的な関心を持つ可能性がある
〇“知っているだろう”という先入観は危険→どこまでの知識を持っているかは不明(凸凹ある)
〇初歩の初歩から→まさかこれを知らないなんて!みたいなことを取り払い、基本的なことから教える
※プライベートなことなど、言いたくないことは言わなくてよい。ガミガミ叱るのは×淡々と落ち着いて伝える。性器の洗い方は親が教えた方がよい。

◆教える人
〇親は平気でも、子どもが親から聞きたいとは限らない
〇親は教えてくれる人を探す役割
〇支援者は絶対性教育ができなければならないわけではない
〇“性”について話すことが好ましく思えない人はしなくてOK。他の人に頼む。→ネガティブさを見せてしまうようならやらない方がよい
〇心理担当者、医者、看護師、訪問看護担当者 等

◆低年齢からできること
〇性別の違い(トイレ)
〇体の名称(正しい名称・性器も)→友達と話す時「ペニス」と言わなくていいことも教える
〇プライベートゾーン→人に見せない、触らせない、人のも見たり触ったりしたら×
〇着替え、一人での入浴、一人寝→パンツ一丁はやめる(リスクが高い)
〇入浴(性器の洗い方)
〇体の変化→予告が必要(赤ちゃん、子ども、思春期、大人)

◆思春期に向けて重要なこと
〇“性”について話せる相手がいて、“性”について聞いたり話したりできること→下ネタを言う人ではない、ポロっと言ったことをちゃんと拾う
〇なぜか?そもそも思春期になると、近しい大人との会話が減ったり、素直なやりとりができにくい→「この人には話していいんだ」と思わせる。
〇人によって、感じ方・好み・考えなどがちがうということを知る→狭いこだわり・好みの人がいる(小児性愛・二次元の世界がいい、生身はイヤ・同性が好き等)
〇違っていても、悪いことではないと知る
※性教育の担当者ではなくても、親や周囲の大人が日々できること
→話の聞き方「今日、胸見せてって言われたから見せた」…「えっ何やってんの」× 「ん?それっていつ、誰から言われたの?」〇 どう返すかで違う!
※ある考えを一般的な反応だと思わせすぎないようにする

◆教えたいこと
〇体の変化
〇マスターベーションー「自分の部屋でだけ」(どこで・いつ)射精時の対応→パンツ・パジャマを洗う・手順・手を洗う→清潔にしなかった場合どうなるかも伝える
〇生理
〇性交
〇避妊
〇セクハラ・痴漢
〇性病
〇出産
〇服装への配慮(女の子…何歳になっても超ミニやホットパンツをはく TPOに合わせた服)
〇自分の行動を相手がどう見るか
〇人との付き合い方
※男の子には、電車など女の人の隣には座らない、肌を露出している子には近づかないと教える

◆教え方
〇視覚的に学ぶ(具体的に)
〇状況による判断の違いは難しい(可能な限りどんな状況でも教えるーex「ホテル行かない?」と「家に来ない?」求められていることは同じ)
〇例外は例外として教える(プライベートゾーン…温泉ではOK、触るのは×、病院では触られることもあるー婦人科だけでなく、内科でも)
〇シチュエーションで伝える(具体性)
〇率直に(回りくどいのは×)オブラートに包まない
「魅力ある男性への道」✨

◆配慮の必要なこと
〇トラウマ→速やかに対処が必要。いじめ・セクハラ フラッシュバックーより辛い状況に陥りやすい
〇性的マイノリティ
〇性に対する変わった好み(LGBT/小児性愛等)

 

◆先生への質問
お母さんのにおいが好きで、たまに「抱きついていい?」と聞いてくる小学生の男の子。
本人もあまりよくないことだと理解しているので、あらかじめ尋ねている模様。このまま続けていいのか?
→回答
日本にハグの習慣はない。アロマなど、他に気に入る香りがないか探ってみたり、抱き枕等
で母親以外で対応できるものを見つけてほしい。

◆参加者アンケート
〇お風呂に関すること、寝ることもずっと疑問に思っていて、誰に聞いていいかも分からなかったことを、こんなに具体的に聞けてすごくよかったです。(保護者)
〇発達障害の性の研修会にあまり参加する機会がなかったので、大変参考になりました。子どもたちが被害者・加害者にならないよう考えながら、これからの教育に活かしていきたいと思います。(教育関係)

↑今回のグループワークの軽食は「ポレポレ」(就労継続支援A型事業所)でした。

今回の学習会は、発達障害の特性に応じた性教育のお話でした。感情を出さず、淡々と教える必要があること、イメージしやすい様、より具体的に伝える必要があることなどを学びました。
納富先生がこれまで関わってこられた事例をもとに具体的に教えていただいたのと、「性」に関する書籍も沢山紹介してもらい、参考になることばかりでした。今回もありがとうございました。
文責:松尾博子