ACTIVITY
活動実績
ついんくる★★講座2021 第7回 テーマ:ライフステージを見据えた支援~たすく療育の紹介と日常への活かし方~
1月16日、第7回ついんくる★★講座2021を開催しました。
今回は、発達障害の子どもに対する「たすくメソッド」で有名な、神奈川県鎌倉市にある「たすく株式会社」から、グループの代表である齊藤宇開先生をお迎えし、お話を伺いました。
たすくグループについて少しだけ説明をしますと、神奈川県鎌倉市を中心に、北は札幌、南は鹿児島まで全国に個別療育の拠点を持ち、個別療育から学習支援、放課後等デイサービス、就労移行支援事業など、様々な場面で支援を行っている民間機関です。
TASUCとは、「Total Approach Support Union Challenged Children and their families」の頭文字で、「挑戦する子どもたちとその家族のため総合的な療育アプローチが出来る支援体制を築く連合組織」という意味だそうです。
今回は、たすくのカバーする幅広い領域の中から、アセスメントを基準にした「メソッド」の概要と「感覚調整」のお話を中心に伺いました。
たすくメソッドの根幹ともいえる「J☆skepsTM」では、行動問題のリスクに備えるための「学習を支える学び」として、①学習姿勢 ②指示理解 ③セルフマネジメント ④強化システム ⑤表出性のコミュニケーション ⑥模倣 ⑦注視物の選択、の7つのポイントを掲げています。
内容について詳しくお伝えすることは出来ませんが、東京都の特別支援学校37校中10校で、このJ☆skepsTMによる評価とたすくのコンサルティングが導入されているとのことです。
感覚調整について
感覚過敏や感覚処理の障害については、通常、ASDや発達障害の代表的な特性として広く認識されているものの、そのメカニズムについて分かりやすく学ぶ場面は、これまでのついんくる講座でも少なかったので、今回の講義は、大変貴重な機会となりました。
ASDなどの多くの人に見られる感覚調整障害を持つ人たちは、それを補うため、それぞれ様々な動作、行動、道具を使って感覚調整を行っています。例えば、物を噛む、扉や壁をどんどん叩く、キラキラ光る物を見つめ続ける、他の人のにおいを嗅ぐetc。また、過反応として、耳をふさいだり、赤ちゃんの泣き声を嫌う、特定の感触の洋服しか着ないなど…。そして、それはASDの人たちが過剰な感覚的刺激のインプットをかき消すために、そうせざるを得ない行為であるということ。今回の講義ではASDの方の世界を、動画を通して体験するという演習もあり、彼らの感覚調整の困難さと共に、それが「情動のコントロール」の困難さにつながっているということについて、改めて理解を深められたように思います。イヤーマフやノイズキャンセリング機能付きのイヤホンなど、ASDの人たちが今では当たり前に使用しているものもありますが、ASDの人たちにとってのセンソリー(感覚)グッズは、やはりなくてはならないものだと思いました。ちなみに我が家の息子(重度知的とASD)も、ハンカチやら、DVDのハードケースやら、お父さんのすね毛を触ったりやら、知らない人から見たら異常としか見られない行動があります。講師の齊藤先生は、人それぞれに感覚調整の方法や道具は違うけれども、大切なことはそれを最低限「社会的に認められるもの」に変換して使えるようにすることです、と言われたことに、重度ASDの子を持つ親として深く頷かずにはいられませんでした。
以下、参加者からの感想の一部を紹介いたします。
・研究データとご経験、実践から信頼ある内容のご講義だったと思います。大変勉強になりました。
・感覚調整について、当事者目線の動画などを拝見し、実際に支援している利用者様や自分の子どもなどに照らし合わせ大変勉強になりました。早めに当事者の理解をすすめることにより解決に導けること、アセスメントの重要性が理解出来ました。
・ぼんやり認識していたことや我が子の成長に伴ってそんな気がすると思っていたことが図や言葉にまとめられていたり、いろいろ知らなかった情報を読みなおして今後に役立てたいと思う講座でした。
最後になりましたが、今回もついんくる講座に沢山の方に参加いただき、ありがとうございました。
そしていよいよ今年度のついんくる講座も、あと一回を残すのみとなりました。
次回のついんくる講座は・・・
2月20日(日)、テーマは「チャリティではなくチャンスを!」〜就労支援事業所「ワークスみらい高知」の取組に学ぶ~ 特定非営利活動法人ワークスみらい高知 代表 竹村利通先生です。
どうぞ沢山の方のご参加をお待ちしています。
文責:松尾和弥