1. HOME
  2. 活動実績
  3. ついんくる★★講座2017 第7回 テーマ:思春期に問題となりやすいこと

ACTIVITY

活動実績

ついんくる★★講座2017 第7回 テーマ:思春期に問題となりやすいこと

H30年1月20日(土) 久留米市教育センターにて、本年度第7回目のついんくる★★講座を開催しました。
今回も保護者、教育関係者、福祉サービス事業所などから、約80名の参加がありました。

テーマ:成人期に問題となりやすいこと
講師:another planet所長 納富奈緒子先生(臨床発達心理士・TEACCH®公認臨床家・TEACCH®インディペンデントトレーナー・ESDM公認セラピスト)
講師:another planet 臨床ディレクター 篠田朋子先生(臨床発達心理士・TEACCH®公認臨床家・ESDM公認セラピスト)

―講義内容-
☆子どもが大人になった時にハタと気づくこと☆
・その都度問題行動に対処するだけになっていて、必要なスキルが身についていない!
・成人するまで(ある程度の年齢になるまで)大きな問題なく育ち、特別な支援・教育を必要と周りが考えなかった末に、必要なスキルが身についていない!

…色んな面で傷つき、二次障害を引き起こしてしまう。二次障害に対して先に手をかけないといけない。少しずつは進むが、大人になると子どものようにはいかない。失敗経験が多いと、素直に学んでいけなくなるので、ちょっとでも早く関りを始めたほうがいい。

☆成人期までに身につけたいこと☆
①生活スキル
②医療機関の利用
③相談スキル
④自己決定

生活スキル
◆どうして生活スキルが身についていないと、成人期で問題となるのか?
→求められる責任や複雑な対人関係の中では、生活スキルまで取り組めない。
→健康的な生活が送れない。
→学校生活や仕事に支障がおよび始める。
…学齢期は、学校に通わせることに主眼をおき、手伝ってでも親が当たり前にやっている。本人は、なんとなく自分でやれていると感じる。(間違い)学校は大事だけれども、大人になった時の生活をイメージし取り組むことが大事!

◆生活スキルを身につけにくくしている自閉症スペクトラム症の特性
自動的には学習をしない、興味がないことに意味を見出せずエネルギーが注げない、実行機能の問題、自分の生活パターンを変えるのが苦手、感覚の問題など

小さい頃は「身辺自立」それから「家事スキル」へ
ASDの人たちに“何回も言う”は通用しない。(自分自身もイライラ)→何年かしたら自動的に覚えるかもしれないが、その低い可能性にかけるより、些細なことから「視覚的に」教えることが大事!

◆生活スキルを身につけると
自立的で健康的な生活を送れるだけでなく、対人関係を良好なものにする!!

②医療機関の利用③相談スキル④自己決定についても、事例を交えながら詳しくお二人の先生にお話いただきました。
最後に、この4つの柱が特に重要なのだけれども
・将来必要なことは幅広い
・人によって学ぶ順番が違う
・教え方もさまざま
・すべてのことを家族だけで教えるのは限界がある
・専門家と連携する
・チーム(家庭・福祉・学校・医療機関・支援機関など)で子どもを育てていくという視点をもつ
・周りが“待つ”ことに耐えることも必要
・教える時は一貫する
とまとめられました。

◆質疑応答
「精神科を定期的に受診した方がいいか」という質問に、
「将来、精神科に行かなくていいという保証はない。大人になるにつれ複雑化した中におかれる。ASDは、二次障害になるリスクが他の人より大きい。(ルーティンをつくればのってくれる人たちなので)予防のため、何かあった時にすぐ対応できるようにするために必要」と回答されていました。

講義の後は軽食(ぱんのもっか)をとりながら、グループに分かれ意見交換しました。

◆参加者アンケート
(保護者)自閉症の子どもだけではない子どもにもつながる内容だったので、大変参考になりました。無意識に親が決めていたところもあったことに気づかされました。
(教育関係者)「相談スキル」や「自己決定」の場面をあまり子どもに与えていなかった様に思います。今からでもこの二つについては意識して機会を増やしていこうと思います。
(医療関係者)周囲がいかに幼少期の頃から「社会へ出す」ということを見通して支援していくかが重要だということが分かりました。

今回もまた、たくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました。
文責:松尾博子