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活動実績

ついんくる★★講座2017 第5回 テーマ:発達障害と医療~診ること、繋ぐこと~

【ついんくる講座★★2017⑤】レポート

H29年11月18日(土) 久留米市教育センターにて、本年度第5回目のついんくる★★講座を開催しました。
今回も保護者、教育関係者、福祉サービス事業所などから、約60名の参加がありました。

テーマ:発達障害と医療~診ること、繋ぐこと~
講師:家村 明子先生(久留米市幼児教育研究所 診療所 医師)

☆講師プロフィール☆
H6年3月 藤田保健衛生大学 医学部卒業 1年間は母校で臨床研修
H7年4月 久留米大学医学部 小児科入局 その後、聖マリア病院 小児科・新生児科などに勤務
久留米市幼児教育研究所・保健所・こども発達相談教室
H28年4月 幼児教育研究所 診療所 医師として勤務

☆講義内容☆

「専門医として~診ることとは?」
・子どもの発達特性を評価する
→目の前の状況だけではなく、生活全体の状況を把握
・診断して特性を理解してもらう
→診断はレッテルを貼ることではない。特性を理解し、支援(子育て)の方向性を知るため

「発達障害を診断するには…」
・診断基準に合致すること
・成育歴の検討
・脳機能不全に関する所見→神経学的所見の診察
・似たような症状を呈する疾患を除外する→各種検査を行う
(睡眠障害・内分泌疾患・アレルギー疾患・てんかん・脳腫瘍・代謝性疾患・染色体異常・神経皮膚症候群・薬剤による影響・難聴)

「診察をすることの意味は?」
・決してレッテル貼りではない
・特性を理解すれば、子どものいいところがみえてくる!
・どうしてできないかを知る→どう関わったらいいか分かる
・今後の育児、保育・教育の方向性を知ることができる
・保育や教育の場で、子どもに合わせた環境整備ができる

だけど・・・
・なんとなく思いが通じない気がする
・何度言っても分かってくれない
・思い描いていた子育てと違う・・
…なんとなく子どもがかわいいと思えない
(悪いことではなく、そう感じてしまう)

「発達障害児は、愛着形成が遅れることが多い」
自閉スペクトラム症:養育者に対して愛着欲求が潜在的にあるにも関わらず、感覚過敏が強い緊張や不安をもたらし、関わろうとすると回避的反応が引き起こされる
注意欠如多動性障害:愛着の対象である特定の他者を選択する暇がない、じっくりと弁別するために必要な他者からの信号を正しく受け止められない

愛着形成の準備が整った時に、子どもの年齢が上がっている。
見かけの大きな子どもの幼児的行動を受け入れることが困難になる。

…けれど
愛着は必ず来る!親は「今来たな」と思って対応することが大切
×体が大きくなった子どもに抱きついたり、膝にのせる
〇ハイタッチ、子どもの好きな遊びを一緒に

アタッチメントの形成が進むと…
・子どもたちはトラウマから身を守れる(大事な人の存在を思うと頑張れる・力をくれる)
・保護者も子育てに意欲的になれる

「投薬による治療を考えるとき」
環境調整と薬物療法は両輪の関係
環境調整が出来ていないと、薬だけ処方はしない

決してやってはいけないこと!
「今日は頑張ったね。ちゃんと薬が効いてきたね」
「今日は調子が悪そうだけど、薬飲んできたの?」

具体的な薬の効果や副作用、睡眠との関係、問題行動の背景を探る重要さ等、盛りだくさんの内容で時間が足りないくらい充実した内容でした。

健やか健康21「愛の鞭ゼロ作戦」のご紹介もありました。
file:///C:/Users/User/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/IE/N863X3A2/ainomuchizero_pdf.pdf

質疑応答の中で一番多かった質問が
「病院をどのように選んだらいいか」「薬が合ってないような気がする」「病院との付き合い方」でした。
家村先生は、「セカンドオピニオンは賛成。遠慮なく主治医に伝えてほしい。それで“え?”とか言われたら、その先生とのお付き合いを考えた方がいい。」と言われていました。

参加者アンケートには
・発達障害で「病院」「内服」となるとハードルが高いなと思っていましたが、まず「環境を整えること」からみて、投薬・調整との話で少し安心しました。できることをまず取り組んでいこうと思いました。(保護者)
・自己肯定感を高めるためにも、出来ないことに目を向けがちですが、出来ることに目を向け、一つひとつ認めていくことが大切だと改めて感じました。それが意欲につながるのだろうし、他者との信頼関係形成にもつながっていくのではないかと思いました。(教育関係者)

講義の後は軽食(マツノブデリ)をとりながら、グループに分かれ意見交換しました。

今回もまた、たくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました。
文責:松尾博子