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活動実績

ついんくる★★講座2015 第9回 テーマ:困っている子ども達の現状と担任との連携

H28年3月12日(土)えーるピア久留米にて、第9回目のついんくる講座を開催いたしましたので、その内容をご紹介いたします。

第9回目の講師は、久留米市立南薫小学校 通級指導教室
公文眞由美先生。

テーマ:困っている子ども達の現状と担任との連携

公文先生は、平成8年から通級指導教室にて発達に課題のある子どもたちの支援に関わってこられ、今年で19年。教室でいち早くペアレント・トレーニングを実施され、教員研修など様々な研修会での講師、くるめSTP学習センタースーパーバイザー、「久留米市すくすく発達相談」相談員を務められるなど、久留米市の通級では大変著名な先生です。

講義の内容は
・学校現場の今とこれから
インクルーシブ教育システムと合理的配慮
・学校におけるユニバーサルデザインと個別の配慮
・担任との連携のあり方

【特別支援教育の動向】
共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築
障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備や、特別支援教育を充実させるための教職員の専門性向上等、国内法が整備され、教育も変わっていかなければならなくなりました。

インクルーシブ教育システムと必要な要件は、H18年に国連で採択された「障害者の権利に関する条約」において初めて提唱された新しい概念です。
障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が一般的な教育制度から排除されないこと、個人に必要な「合理的配慮」が提供されること等が必要。
個別の教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要だとされています。

全国実態調査によると、通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童・生徒は6.5%。特別支援学校・特別支援学級の児童生徒を合わせると、約1割が支援を必要としている子どもです。

【困っていることの背景を考える】
席を離れる、指示を聞いて行動ができない、自分の思いが通じないとかんしゃくをおこす、音楽の時間に耳をふさぐなど、目に見える行動には理由があります。
↓↓↓
刺激に左右されやすい、学習が分からない、指示の意味が分からない、ワーキングメモリの苦手さ、感情の切り替えが苦手、言葉でどう伝えていいか分からない、音に対する過敏性がある等の理由が考えられます。

【ユニバーサルデザイン】
<学習環境を整える>
教室全体の整備…掲示物は教室の後ろに貼る、カーテンをするなど刺激を減らす工夫
座席の位置…刺激に左右されやすい子は一番前の席、モデルがあった方がいい子は前から二番目に座るなど、その子にとって学習しやすい場所に
静かで落ち着いた学習環境…机や椅子にテニスボールを付けるなど

【問題行動には理由がある】
1.本人にとって適応するための行動
2.パニック(不安による混乱状態)になっている、またはパニックを避ける行動
3.誤学習
4.自然に獲得できなかった行動
↓↓↓
家庭と学校で子どもの困っていることを共有することが大切。
そのために、家庭と学校それぞれが互いのことを知るためのコミュニケーションが大事。

互いを責めるだけでは解決になりません。子どもの問題行動は、信頼関係を育むチャンス。互いの立場・状況を尊重し、それぞれの状況を推測しながら、具体的にちょっと頑張ればできそうなことからスモールステップで取り組みます。
そして「いつもお世話になっています。」等、ちょっとしたクッション言葉をそえる。立場を尊重するために大人にもSSTが必要だと言われていました。

【担任との連携が難しい場合】
・学校内…特別支援教育コーディネーターや学年の先生、養護教諭、教務、管理職、スクールカウンセラー
・学校外…久留米市教育委員会の相談員、担当者

その他、
教育機関では特別支援学校、県教育センター、北筑後教育事務所
保健・福祉機関では、子育て支援センターや児童相談所、発達障害者支援センター「あおぞら」
医療・療育機関では、久留米大学病院、肥前精神医療センター、こぐま学園、聖ヨゼフ園など
学校以外の関係機関の利用も視野に入れ、“粘り強く、諦めないで”色々なバイパスを活用していくことも教えていただきました。

質疑応答時
「合理的配慮をきちんとして行く為に、教師ができることは何でしょうか?」という質問に、
・発達障害の理解をもっと深めていくこと。
・行動をしっかり見て、何がそうさせているのかをみること。
・ユニバーサルデザインをしっかり考え学級経営をしてくこと。
・個別の支援が必要な子については、親の申し出があろうとなかろうとやっていく。
と回答されていました。

その後のグループワークでは、「どのようにやっていますか?保護者⇔支援者間の連携」というテーマで、保護者と支援者に分かれて意見交換しました。

最後に公文先生は、
「頑張っている自分を、時々褒めて下さい。」と言われていました。
子どものことで一生懸命になり過ぎると、やはり疲れてしまいます。
自分自身の楽しみを持って、時々ストレス発散する。そして、
“まあ、いいか”
ストライクゾーンを広げ、次のエネルギーにつなげていってほしい。
「過去と人は変えられないけど、自分と未来は変えられる。」
自分の関わり方をちょっと変えてみては…とまとめられました。

アンケートには、
・保護者としての思いもたくさんありますが、先生の置かれている状況も気にかけて、良好な関係を来年度もつくっていきたいです(保護者)。
・学校と保護者が共に育ちあいながら、子どもを育てていく。今、学校に求められることが多すぎて、大変な現実がある中でホッと安心できる講座でした。「出来ない」ではなく「出来ることから少しずつ」頑張っていきたいです(教育関係)。
それから
・9回の講座に来て、世界の見方が変わったと思います。Eテレなどの公共放送で、全10回全て流して広く世の中に伝えるべき!!と思うほどでした(保護者)。
といったご意見、ご感想をいただきました。

今回の軽食は、大川市にある「グッドジョブ大川」様(就労継続支援A型事業所)からご用意いただきました。おにぎりとパンでリューム満点!!大川からの配達も、ありがとうございました。
文責:松尾博子