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ついんくる★★講座2020 第8回 テーマ:行動障害とは何か?~行動障害の捉え方と支援の考え方を中心に~
gocochi-Nextでは、2月7日に今年度最後のついんくる講座を開催しました。今回は「行動障害とは何か?」〜行動障害の捉え方と支援の考え方を中心に~をテーマに、社会福祉法人福岡市社会福祉事業団障がい者地域生活・行動支援センターか~む所長の森口哲也先生からお話を伺いました。
「か~む」では共同生活援助(グループホーム)の中で、強度行動障害の方を受け入れて集中的に支援を行い、行動の改善を図る「強度行動障害集中支援事業」を運営されています。
講義では、まず第一部として、か~むの事業紹介をはじめ集中支援の取り組みや地域移行、福岡市における行動障害に対する取り組みの状況などが紹介されました。
第二部は強度行動障害とは? ~行動障害の概要と理解~というテーマで、自閉症の特性理解の大切さ、コミュニケーションや環境要因との関係について説明されました。
第三部は、支援に対する考え方や具体的な対応がテーマでした。「構造化」「ワークシステム」「スケジュール」についての考え方や具体的な支援の方法、また応用行動分析による支援についても説明をいただきました。計画的に支援を実現するための個別支援計画の重要性、PDCAサイクルによるマネジメント。行動記録から行動の意味を読みとる方法についても具体的で丁寧な説明がありました。
今回、成人施設である「か〜む」での取り組みから、幼児期・児童期の不適切な支援が成人期の行動障害を招く要因の一つであるというお話がありました。成人期の強度行動障害とは、個人の障害特性と環境要因のミスマッチ、不適切な関わりから生じる言わば「作られた障害」であると、先生はこのことをスライド越しにことさら語気を強めるでもなく語られましたが、僕たちはこのことを深く胸に刻みたいと思います。今、制度上の限界として成人期の支援と児童期の療育の知見がつながりにくい現状があります。だからこそ今回、ついんくる講座で幼少・児童期を支える多くの関係者がか~むの実践をはじめとした成人期の支援について学べたこと自体に大きな意義を感じました。
それから個人的に特に印象に残ったこととして、支援のマネジメントに関するお話がありました。『・・・「構造化」や「スケジュール」などの支援を行ったからといって利用者の行動はそうそう変わるというものではない。そういう中で支援を続けていくために成果を「見える化」してく必要がある。データを整理することでちょっとした変化を確認する、それを喜びに支援者としても自分たちのやりがいにつなげていく・・・』という話でした。
今回ついんくる講座に参加された受講者のみなさんも、支援の専門家もいらっしゃれば僕のような保護者もいるわけですが、ひたすら地道に支援の日々を送る中でなかなか変化が見えずに気持ちが萎えそうになることもあると思います。そういうとき僕は、あの「か〜む」でさえそうなんだから、くじけずにこれからも頑張っていこうと、そう考えていきたいと思いました。
以上簡単ではありますが、第8回ついんくる講座2020の報告とさせていただきます。
最後に、今年度のついんくる講座も全日程が終了いたしました。延べ700名以上の方に受講いただき、本当にありがとうございました。なお、今年度の事業は、筑後川コミュニティ財団「子ども若者応援助成金」と久留米市市民活動・絆づくり推進事業費補助金を活用させていただきました。ついんくる講座の開催に際し、沢山のご協力をいただきました関係機関の皆様、協働先の久留米市幼児教育研究所、障害者福祉課、学校教育課に心から感謝申し上げます。
次年度も「支援の広がり」と「実践力の向上」に向けて活動を続けてまいりますので、どうぞ応援をよろしくお願いいたします。
文責:松尾和弥