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ついんくる★★講座 2025 第2回 テーマ:強度行動障害がある人のひとり暮らし
令和7年8月3日(日)の10時より今年度2回目のついんくる☆☆講座が開かれました。
gocochi-Nextでは、基礎的な特性の話から、支援方法、就労、など様々な講和行う中で令和4年から、強度行動障害のお話も講座の中に入れてきました。強度行動障害は本人の特性と環境のミスマッチ等により、自傷や睡眠障害、他害など通常では考えられない頻度と形式で出現する状態像を言い、講師は、「特定非営利活動法人おかえり」の代表でもあり、保護者でもある財部志保さんにお話していただきました。

講義は、2部構成で1部は「おかえり」の設立に至るまでのお話。2部は母として感じてきたことです。
1部は、強度行動障害の方々の受け皿が少なく、福祉施設では集団生活が難しいと医療に紹介され、医療でも3カ月と期間が決まっており、3カ月を経過すると退院となり、家族が仕事を辞めて対応にあたるなど、医療と福祉の狭間で苦慮している現状です。
財部さんも夜中大声を出す息子さんをドライブに連れて行き、何周も都市高速を走っていたこと。子どもを入院させた日の保護室での子どもの表情が忘れられないこと。など生活の中での苦悩を粛々とお話されました。
息子さんは退院後、家族と暮らしていた家に帰るのではなく、アパートを借りてサテライト生活を送ることを決め、母と2人で生活し、ヘルパーを探し、一人暮らしが確立した後、一軒家に引っ越し、利用者を増やしシェアハウスで生活をするようになったことで、今の「おかえり」のきっかけとなる、息子さんの一人暮らしに至るまでのお話をされていました。その端々に当事者家族の苦労が垣間見えるのですが、財部先生のお話している姿は、苦労だけではなく、明るさ、力強さなどが感じ取られ、聴講されていた方々もなんとも言えない感情を持たれたのではないでしょうか。
また、2部は母として感じてきたことをお話されました。息子さんの幼少期から療育センターに通い、良いと言われることは取り入れ、頑張れば自分の想いを伝えてくれるようになるという期待を持ち子育てしていた事。小学校に入学し1カ月頃よりお子さんが食事を食べられなくなり、ストレスが大きかったことがわかり、子どもに合わせた環境を調整して欲しいことを伝えてこられました。理解していただける先生方もいたようですが、知的障害の児童は環境に合わせることが出来るようになることが目標になってしまっていることへの疑問、人の手を借りないと生活できない子を生んで社会に申し訳ないと思う気持ちと子どもを愛する気持ちを率直にお話されました。
最後に彼らの本質はとてもピュアで、裏表もない、忖度もない、感情表現もストレート、時に特性に翻弄されることもあるけれど、より人間らしくて魅力的と!(これは、強度行動障害に関わる方々の皆さんがこのような表現されるのです!)
そして、社会福祉の父である糸賀一雄氏の「この子らを世の光に」という言葉で締めくくられました。
アンケートの中でも
・講師の先生が保護者であり、支援者であることで、親としての正直な気持ちと支援者として寄り添う難しさを率直にお話され、自分自身の在り方を見つめなおすきっかけとなりました。
・エピソードななかなか普段知ることができない、当事者でしかお話できない貴重なお話でした。といつになくと、簡単に抜粋しましたが、今回皆さん、長文で書いていただきました。財部志保さん貴重なお話をありがとうございました。

さて、次回は9月7日(日)10時より「特別な配慮が必要なこどもの性発達とその支援方法」と題しまして、長崎大学名誉教授の宮原 晴美先生にご登壇いただきます。性の支援はどの子にも訪れることです。どのように伝えていくのかなどきっかけになるお話が聞けると思います。ぜひご参加ください。
文責 gocochi-Next 髙山